スピリット ーステージの精霊ー 脚 本 |
オープニング 開演アナウンスが入る。曲が流れてくる。 幕が上がると、クラブの華やかなショーシーン。 此処は、オープニングではあるが、物語の流れ上フィナーレの形を取っている。 ポイントとして欲しいのは、ポール&ベスのペアが引き立つナンバーであること。 魅力の最初のアピール。 第一場 出会い 静かになった客席に、一人の少女が残っていた。(本当に客席にいても良いかも) 照明少女に。 マギー 「凄いヤッパリ…。(手に雑誌らしき物を握りしめている) ステージの彼を観られただけでも、ラッキーなのよね。 旅費全部つぎ込んじゃったけど。(溜息)このステージで彼と踊れたら…。夢よ、夢…。」 スピリット「夢は叶うさ。君は素敵だよ…。」 暗いステージから、声が聞こえる。 マギー 「誰…?誰か居るの…!?」 スピリット「聞こえたの、僕の声…!?」 マギー 「だからそこに居るんでしょう。人をからかうのも、いい加減にしてよね。どうせ田舎者よ…!!」 スピリットに、照明があたる。 スピリット「ヤッパリ聞こえてる。こんな事初めてだ…!?」 マギー 「貴方何者…?」 しげしげとスピリットを見つめる。 スピリット「待って何で見えるの。嘘だろう僕の姿なんて無い…筈…。てっ、手がある。足だ、顔…。 人の身体になったんだ。」 マギー 「エェ、貴方はそこに居るは、確かにね。頭大丈夫…!?」 スピリット「大丈夫。僕はスピリット。このステージの精霊。」 マギー 「(思いっきりの、不信感)。」 スピリット「僕だってこんな事になるなんて、考えもしなかった。何時もはそんな感じで、終わるんだ。 声を掛けてもね。」 マギー 「そんな感じ…!?」 スピリット「そうさ、君みたいにハッキリ聞こえて、姿まで見えた人なんて居なかった。僕は一つの意識じゃない 沢山の想いの塊。」 マギー 「沢山の想い…!?」 スピリット「ステージ好きなんだろう。(マギー大きく頷く)簡単に言うと、その好きの集合体。 此処に残っているステージへの想いが僕なんだ。」 マギー 「貴方人間じゃないの…!?」 スピリット「そういう事。」 マギー 「信じられないけど…。不思議な感じはする。普通の人とは違うと、思う…。」 スピリット「見てるだけで良いの。出たいんだろう。でなきゃ此処にいないよね。」 マギー 「私…!?無理よ、無理。」 と、言いつつ先程の雑誌を後ろに隠して。 スピリット「何、見せてよ…!!(マギーから取り上げてしまう。)募集雑誌と合格通知。 なんだ書類審査は合格してるんじゃない。二次審査は…。明日だ、受けに来たんだね。」 マギー 「そう。そのつもりだったけど。何て言うか気後れしちゃった。凄い、凄すぎるのよね、 田舎者の私にとっては、それに…。」 スピリット「それに…?」 マギー 「ダンサーとしだけならまだ良いけど、コーラスガールも兼ねるんでしょう。」 スピリット「歌、苦手…?」 マギー自信なげに頷いて。 スピリット「僕に任せて、君なら大丈夫。自分を信じて。夢は追い続ければ叶うんだ。 それに、このステージの精霊スピリットがついてる。」 マギー、言っている意味が飲み込めない。 マギー 「自分を信じて。夢は叶う…。」 スピリット「僕は、ステージのエキスパート何だよ。」 マギー、ようやく理解した。 スピリット「まずは歌…。エッート。(名前を呼ぼうとして、教えてもらっていないことに気づく)」 マギー 「マギー。スピリットお願い、教えて。彼と同じステージに 。私、立ちたい。」 スピリット「OK。じゃあ、まず発声から…。」 発声練習から、コミカルな楽しいナンバーに繋いでゆく。 二人の掛け合い、ダンス、明るく温かく。 ナンバー終了。 スピリット「OK マギー。採用試験は明日だ。大丈夫君ならきっと合格できるよ。」 マギー 「やるだけ、やってみる。」 照明落ちる。 第二場 採用試験 カウントを数えるベスの声が、聞こえてくる。何人が準備運動のごとくそれに合わせて踊っている。 その途中で照明はいる。 ポールが、そこに登場する。女の子達がそれを見つけて側に走って行く。 ポールは、スターらしく対応しようとするが、ベスにたしなめるような咳払いで、女の子達を 戻るようにする。 マギーが、息を切らせて入ってくる。 マギー 「すみません、遅れました。試験始まってますか…!?」 ベス 「まだよ…。」 ポール 「準備運動をして、体を温めて。それからだよ。」 マギー 「はい。」 憧れのポールに声を掛けられて、固まってしまった。 スピリット「マギーしっかりしなよ。早くしないと本当に始まるよ。」 何時の間にか、スピリットが現れている。 マギー 「スピリット…!!(全員の不振な目。気を取り直して)ありがとうございます。」 柔軟を軽くやっている内に、曲が流れてくる。試験開始。 ベス 「それでは、試験を始めます。準備をして位置について、私の後に付いてきてください。」 まずはダンス。ベスはお手本しっかりと確実に。 マギー元気に生き生きと。 ポールも途中参加。マギー一瞬ストップ。(他のメンバーも…!?) スピリット「マギー。(肩をたたいて、一緒に踊り出す。)」 マギー頷いて再びダンス。 曲が終わる。 ベス 「少し休憩。(水を飲む者。疲れて座り込む者様々)続けて歌を見ます。準備をして。」 マギー 「ハイ!!(元気な声で)」 ポール大受け。ベスはビックリ。周りの受験者達はシラー。 準備が出来次第、試験開始。曲が流れる。一人。二人短めのソロ。 マギーのソロ。途中からスピリットも重ねて歌い出す。優しいハーモニー。 歌い終わって、拍手。マギー、キョトンとしている。スピリットは嬉しい。 ベス 「素敵だったわよ。自信があったのね。」 マギー 「いっいえ、そう言う訳でも…。」 ポール 「合格。いいだろうこの子なら…。」 ベス 「今決めても…!?わかった、採用ね。おめでとう、頑張るのよ。」 マギー 「ハイ!!」 スピリット、喜んでいる。 照明落ちる。 第三場 初めてのショー スピリット舞台に残っている。照明。 スピリット「良かったね、マギー。君ならキット素晴らしいスターになれる。 だって僕の姿を見ることの出来る、たった一人の人間なんだもの…。」 嬉しいのに。くすぶっている不安。 ショーの開幕を知らせる声が響く。 曲が流れてくる。 スピリット「サァ、マギーの初めてのショーの始まりだ。」 乗りの良い、激しいが一番明るいナンバーに。 所々でスピリットも参加するが、マギー以外は見えていないと言うことを意識して欲しい。 可能なら、ポール&ベスのデュエットソングが欲しい。 全体として、群舞の見せ場を多くしたナンバーに。 全員で見せきって、ショーが終了。 照明落ちる。 第四場 別離 照明はいる。出演者達が言葉を交わしながら退場していく。 ポールがマギーに声を掛ける。(深い意味はない) ポール 「お疲れさま…。」 マギー、それだけで夢心地。 ポールは退場する。 スピリットは何故か面白くない。マギーにいたずら。 マギー 「スピリット…!?(怒って追いかけて、二人とも退場)」 ベスは、そんな人々を見送って一人残る。 ベス 「夢の入り口。恋を知らないから、恋に焦がれる。一番いい年頃なのかしら…。」 ベスのソロ。 ベス 「置いてきた 物があるとしたら いったい 何 求めた物は このステージに 確かに在ったはずなのに 手にした物は 何 地位 名声 人々の賛美 喜びだった 確かに でも 心に吹き抜ける物は 何 私を包み込む この むなしさは 何 温もりが 恋しい」 歌い終わる頃に、ポールが登場する。 ポール 「まだ、こんな所にいたの。食事に行く約束だろう。」 当然と言った感じで、抱き寄せる。 ベス、うんざりと言った感じで、その腕から逃れて、着替えに入ってしまう。 着替えながらのシーン。 ポール 「どうしたんだい。女王様は、ご機嫌が悪いらしい。」 ベス 「ポール。私、今度のショーが終わったら田舎へ帰るは。」 ポール 「何故…!?僕のプロポーズ考えてくれるって、OKなんじゃ…。」 ベス着替えて出てくる。出来るだけスターらしい装いで。 ベス 「貴方、この世界から離れて生活できる…!?」 ポール 「それは…。」 ベス 「出来ないわよね。(ポール頷く)私はこの世界にとどまるつもりはないの。 そろそろ静かに暮らしたいの、私だけを愛してくれる人と一緒に。」 ポール 「どういう意味だい。」 ベス 「プロポーズされたの。幼なじみの彼から、貴方とは同じ時期だった。」 ベス、背を向けて出ていこうとする。 ポール 「愛しているの。」 ベス 「そうよ…。」 ポール 「僕よりも…。」 行こうとする、ベスを捕まえて抱きしめる。 ベス 「好きよ。愛していたわ。でも、貴方とは行けない…。」 切ないほどに、別離を意識した大人のムードのデュエットダンスを。 ダンス終わって。 ベス 「さようなら。貴方なら、すぐに良いパートナーが見つかるわ。」 ベス、退場。ポール言葉無く見送って。 ポール 「僕に、どうしろというんだ…。」 ポールの歌ソロ。 ポール 「君はステージを降りる ライトの光 拍手や喝采に 背を向けて 僕にもそれを望むのか 光の中が 僕の生きる場所だと知っていても 愛しているのに 同じ思いだと信じていたのに 人々の視線が 拍手の響きが 僕を酔わす 流れる音楽が ライトの光が 僕を熱くする エクスタシーに似た 陶酔の瞬間 それを 捨て去ることは出来ない スター それが僕が僕であると言う事」 ポール 「さようなら ベス…。」 歌終わって、照明落ちる。 第五場 マギーの幻想 照明はいると、マギーとスピリットが、何やら話をしている。 と、言うよりマギーが、一方的に話して聞かせている。 マギー 「もう本当に素敵なの、優しいし。かっこいいし…。」 とにかくポールを褒めちぎっている。 スピリットは、うんざり気味で元気がない。 マギー 「聞いてるの、スピリット…!!」 スピリット「聞いてるよ。彼は最高だって言いたいんだろう。」 マギー 「そうよ、言ったじゃない。やっぱり聞いてない。」 スピリット疲れる。 マギー 「このクラブのショーを、TVで見た時は、まさか一緒のステージにたてるなんて考えても居なかった。 "ポール&エリザベス"此処でこうして居ても、手の届かないスターなのよ…。」 スピリット「君なら、彼等ぐらいのスターに、なれると思うけど、僕は…。」 マギー 「まさか。いくらスピリットの、言うことでも、それはない。あの二人は特別なのよ。」 マギーは、自分のイメージの世界に入っていく。 何時の間にか、マギー一人だけになる。 マギーの歌ソロ。 マギー 「私の夢よ 夢のスターよ 輝く 遠い 星なの 同じ 舞台で 私も 踊る それだけで良い 幸せ 胸の 鼓動が今 こんなにも 高鳴って 夢の 舞台で 私は 歌う それだけで良いのよ 私は」 歌い終わって、彼女の理想のカップル"ポール&エリザベス"が、舞台に登場する。 マギー、嬉しそうに、二人を見つめる。 途中ポールと、スピリットが、入れ替わる。 マギー 「スピリット…!?」 マギーも、そこから消える。 暫くポールと、スピリットがベスと組み合いながら踊っている。 マギーが、衣装を着替えて登場する。 マギーも、ポールと、スピリット。二人と組んで踊る 四人の男女が入り乱れるダンスシーン。 曲が決って、スピリットとベスが、残っている。 二人、手を取って消えていく感じ。 照明落ちる。 マギー 「スピリット…!?何処へ行くの…!?」 照明はいる。 マギー元の衣装に着替えて、追いかけるように出てくる。 ポールも、普段着と言った格好で登場する。 ポール 「どうかしたの、泣きそうな顔をして…。」 マギー 「いっ、いえ。友達が…。」 ポール 「けんか…!?」 マギー 「違うと、思います。たぶん…。」 ポール 「でも、寂しくって、不安か…。」 マギー 「(頷く)ポールさんも、何時もと違う…。何かあったんですか…!?」 ポール 「振られた。エリザベスに、ステージも人生も。」 マギー 「そんな…。また慰めようと思ってからかって。」 ポール 「気の利く男なら、振られやしないさ。地に足のついた男が良いんだって。 やくざなショーマンは用済みって訳。」 マギー 「そんな…。私の理想の二人だったのに…。」 ポール 「そうだ、此処で会えたのも、何かの運命だ。君歌えたね。」 マギー 「大したこと無いです。」 ポール 「ダンスは好き…!?」 マギー 「好きなだけです。」 ポール 「決めた。次のショーから、君がパートナーだ。」 マギー 「そっ…!!(言葉にならない)」 ポール 「そう言うことだから、よろしく。」(すでに立ち直っている) マギーその場に立ちつくしたまま、照明落ちる。 第六場 最後のレッスン スピリット現れて、照明はいる。 スピリット「ほらご覧、僕は嘘はつかない。ステージの精霊の言うこと本当になるんだ。 マギー君はスターになれる。言った通りになったろう。」 マギー 「エェ。でも本当のことなの。夢を見て居るんじゃないの。」 スピリット「本当のことさ、僕がこうして存在しているより、現実的だとは思わないかい。」 マギー 「信じて良いのね、私スターになれるのね。」 スピリット「そうだよ。君はとっても魅力的だもの。」 マギー、スピリットに駆け寄って抱きつく。 マギー 「側にいてね。ずっと側にいてね。」 スピリット「君に、僕は必要なくなる…。」 マギー 「エッ…!!」 スピリット、笑っているけど、どうしょうもなく切ない。 スピリット「マギー、レッスン。(手をさしのべて)」 マギー 「(頷いて、手を取る)」 曲が流れてくる。優しく、爽やかな感じのラブソング。 透明感のある、デュエットダンスに。 マギーは、自分のこれからに期待と不安を持って。 スピリットは、自分の思いを押し殺すように。 曲終わって、マギー退場。 スピリット「マギー。」 スピリットの歌ソロ。 スピリット「きみは望んだ通り 夢への階段を上っていく 僕は知ってた 君はたどり着けると でも 君がそれを手にした時 僕は消えるだろう 君に触れることも 君と言葉を交わすことさえも 出来なくなる 喜びも知っている 哀しみも知っている 心が 君への想いが 僕を満たしている 君が強く ステージへと望んだから 僕は君と出会えた 僕の身体は砕けて消えても 心は変わらず舞台(此処)にあるから 永遠に君を見守っている 幸せに それだけ祈っているから」 スピリット「マギー。愛している…。」 歌い終わって、照明消える。 第七場 看板スターマギー マギーとポールを、中心にした。ショーシーン。 マギーの、若さと明るさを前面に出した物で、構成できれば。 ショーシーンて終わって、出演者達は退場していく。 マギー残っている。 マギー 「スピリット、あれから一度も現れない…。」 ポール登場する。 ポール 「マギー、まだ着替えてないの。皆行ったよ。来てくれるんだろう。」 マギー 「貴方の送別会ね…。」 ポール 「怒ってるの、相談しないで決めたから。」 マギー 「別に…。貴方のTVへの転身は、何度も聞かされてたし、驚きもしなかったわ。」 ポール 「つめたいんだ。昔は可愛かった、キラキラした目で、僕を見てくれてたのに。」 マギー 「ステージでの貴方は、今でも最高よ。ポールでも…。」 ポール 「マギー君だって最高さ。僕が育てたんだもの。」 マギー、パートナーを組む内にポールの実状を見て疲れ果てていた。 マギー 「感謝してる。良いから行って、一人にして、後から行くから。」 ポール 「待ってるよ。(軽くキス)」 ポール、意気揚々と退場。平和な性格。 マギー 「本当、あんな人だとは思ってなかった。サヨナラできるのは、ラッキーだって思われてるなんて、 気づきもしないんだろうナァー!!」 ステージを、見渡して。 マギー 「スピリット。いい加減出てきてよ。姿見せてよ。拗ねてるのか、怒っているのか知らないけど、 私は、貴方のおかげで、スターになれた事ぐらい分かっているわよ。」 返事はない。 マギー 「今度から私、一人なんだから。パートナー居なくなっちゃうんだから スピリットいるんでしょう。返事ぐらいしてよ…。」 なんだか悲しくなってきた。 ジミー 「あのー。こんにちは…。」 突然客席から、声がして。一人の青年が現れる。 マギー 「スピリット…!!今まで何処にいたのよ。」 ジミー 「ちっ、違います。僕はジミーと言います。クラブの採用試験、此処で良いんでしょうか。」 マギー 「エッエェ…!?でも明日よ。本当にスピリットじゃないの。こんなに似てるのに…!?」 ジミー 「誰ですか、その…!?」 マギー 「いっ、良いの。気にしないで。貴方経験は…。」 ジミー 「少しだけ…。本格的にやっていた訳じゃないし…。」 マギー 「わかった。私が教えてあげる。こう見えてもステージのエキスパートなんだから。」 ジミー 「このクラブのスター・マギーさんに教えていただけるなんて、光栄です。 貴方に憧れて出て来たんですら。」 マギー 「行こう…。」 ジミー 「はい…。」 二人手を取り合い消えていく。 照明消えるギリギリの所で青年振り向いて、投げキスorウィンク。 フィナーレ マギーとジミーのショーとしても良いし。 出演者の魅力を発散する、ナンバーを集めても良い。 自由に、最後だから出し切る感じのフィナーレを。 幕 |
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